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与信管理規定とは?【必要性や守らないリスク】

与信管理規定とは?【必要性や守らないリスク】

企業内で非常に重要な与信管理規定ですが、守ることで債権管理時に迅速な対応が可能になります。しかし、与信管理規定をせっかく作ってもうまく活用できないという企業も少なくありません。円滑な債権管理を行うためにも、どうすれば活用できるのかを考えてみましょう。

今回は与信管理規定の必要性や、守ることの大切さについてご紹介します。

与信管理規定とは

一般的には、商品を取引先に販売する度に代金をもらわず、期間をおいてまとめて請求します。これを掛売りと言います。

掛売りでは、商品を渡してから請求金額が回収できるまで、期間や売掛金が発生します。取引は取引先を信用しているからこそ成り立ち、これを与信と言います。

信用を供与することで「取引先を信用しているから、商品代金は即時ではなく数ヶ月後でもいい」ということになります。

与信管理規定とは

取引先の経営状態が悪化すると売掛金を回収できなくなるリスクが生まれます。この未回収のリスクを回避するために行われるのが「与信管理」です。

与信管理を適切に行うことで、会社が被る損失を最小化することができます。与信管理規定とは、会社内部の与信管理に関するルールや方針を明文化したものです。

企業によっては、販売管理規定の中に設けている場合もあります。

与信管理規定の目的

与信管理の真の目的は、売上の最大化を目指すことです。売上を増やすには売掛金を増やさなければならず、利益を増やすには販売代金の未回収を防がなくてはなりません。与信管理を行う上で、これらを上手にコントロールする必要があります。

与信管理規定の必要性

規定が明確でないと、対処すべきリスクに素早く対応することができません。重要なリスクを早く発見することはとても大切です。与信管理規定が存在することで、万が一問題が発生した際の対応の方法が明確にされているため、社内の対応を迅速に進められます。

与信管理規定のつくり方

与信管理規定に書くべき内容

与信管理規定の内容は会社によってそれぞれ異なります。業種によって取扱製品や顧客属性などの事業環境は異なりますので、その会社にあった与信管理規定を作成し、運用する必要があります。

一般的な例として、与信管理規定に書くべき内容を以下に4つ挙げます。

与信管理規定のつくり方

先程述べたように、与信管理規定は会社内部で効力を生じるもので、決まった記載方法はありません。一般的な与信管理規定の大きな枠組みの4つの項目について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

<総則>

総則では与信管理の目的、適用の範囲、責任の範囲など全体に関する内容を記載します。

【目的】

与信管理をする目的を記載します。与信管理規定は会社を守るための経営手段なので、その旨を目的に記載するのが一般的です。

【適用の範囲】

どんな取引や業務に与信管理規定が適用されるかを記載します。すべての取引に対して適用すると定めた場合は、与信管理に該当する取引先が多くなってしまうので注意しましょう。

最低でも新規取引時には必須となる旨を記載しておいたほうが無難です。

【責任の範囲】

与信は誰が責任をもつのかを記載します。管理部門にすべてを任せる、部門ごとに任せるといった書き方ができるでしょう。

 

<与信限度額>

与信限度額は、取引先の会社にどれくらいの信用を与えるかによって、確実に売上債権を回収できる金額を設定します。

【与信限度額の設定】

与信限度額は誰がどのように設定するのかを記載します。決裁者の承認により決定しますが、金額やリスクの重要性から、決裁者を職務権限規定に定めたほうがよいでしょう。

【与信限度額の有効期限】

与信限度額は一度設定したら終わりにするのではなく、定期的に見直します。有効期限を設けて、期間が満了したら再度設定手続きを行うことが望ましいでしょう。

【取引先に対する与信管理の方針】

与信限度額を超過した場合の取引が発生したら、どのような対応をすべきか記載します。

 

<与信管理の運用>

実際に与信管理の運用にあたっての記載をします。規定を作成しても適切な運用がされなければ、規定の意味はありません。

【与信管理の教育】

規定の遵守にあたって、従業員に対しての教育および指導をどのような形で行うかを記載します。

【回収状況の報告】

未回収が発生した場合は、すぐに取引先の状況を把握しなければなりません。

誰が回収状況の報告をするのか、まだ回収ができていない場合には誰が対応するかを記載します。

【緊急時の措置】

取引先の経営状態が悪化したり変化した際には、リスクを回避するために与信限度額を減らす必要があるでしょう。緊急時に誰がどのように、どの範囲までを決めることが可能かということを記載します。

 

<問題の処理>

取引先が経営難で倒産してしまって、そこからの債権回収ができなくなってしまったときなどの問題が起こったときの対処方法を記載します。

【問題先、事故先の定義】

どのような状況になったら問題先として取り扱うのかを定義して記載します。

【問題先、事故先に対する措置】

債権回収に遅れが発生している場合、どのタイミングでどのような行動を起こすのかを記載します。無理のないスケジュールで作業を行うことが必要でしょう。

与信管理規定の重要性

与信管理は債権回収のリスクをなるべく減らすために行うものです。この規定が守られなかったらどのようなことが起こってしまうのか、詳しく見ていきましょう。

債権回収が難しくなる

まず、販売した商品代金の回収ができなくなるリスクが高まります。与信管理プロセスを経ずに契約を進めてしまうと、取引先からの情報収集がされないまま取引を始めてしまうことになるでしょう。

取引先の信用が分からない状態なので、債権回収が可能という保証はありません。取引先は本当に信頼できる相手であるのかをよく確認することが、会社を継続していく上では何より大切なことです。

倒産のリスク

利益が出ていたとしても債権回収がうまくいかなければ支払いが滞ってしまい、倒産してしまう可能性もあります。これが黒字倒産と言われているものです。会社の事業継続に大切なものは手元にある現金で、債権をいくらたくさん保有していても、支払いができなければ事業を続けることはできません。

まとめ

この記事では与信管理規定について、必要性や規定を守られなかったときのリスクについてご説明いたしました。与信管理は企業を継続していくための大切な経営手法です。債権が焦げ付かないようにするためにも、規定をしっかりと定めて運用できるよう心がけましょう。