先ほども説明したように、売掛はその場で代金の支払いを行わず後で料金を支払うため、後払いと同じ原理と言えます。例えば、商品を購入して自宅に届いた後にコンビニなどで代金を支払う場合も売掛です。つまり、購入したその場で現金のやりとりがない場合は売掛に部類されることになります。

請求書払いとは、お金が発生する取引をおこなった際に請求書を発行し、後日請求書に記載してある期日に取引分の支払いを行うことを言います。企業が取引先や個人に請求書を発行して代金を回収する行為は、売掛の代表的な取引です。

現金払いのほかに、請求書払いやクレジットカード払いも売掛払いに該当します。ほかにも、携帯電話料金と買い物した代金を一緒に支払うことができるキャリア決済も含まれます。

このように、普段の何気ない生活の中で知らないうちに売掛を体験しているのです。

売掛のメリットは、売り手側と買い手側、請求と支払いの双方の手間が省けることです。
取引ごとに現金支払いを行っていては、請求業務や支払い業務にかなりの時間をとられてしまいます。ですが、売掛で取引をすれば一定期間の取引を一括に請求できるので、お互いの支払いを効率良く行うことができます。

売掛のデメリットは、代金未回収リスクと与信管理の手間がかかるというところです。売掛は売り手と買い手の信用で成り立っていますが、期日までに支払われるという確証はありません。
だからこそ、厳しい与信基準を設けて取引先の信用を評価しなければいけません。
反対に、代金未回収が多く発生すると仕入れ先から「与信管理の徹底がされていない会社」というイメージを持たれてしまいます。自分の会社の信用を落としてしまえば、今後の取引条件が悪くなる可能性や、取引を打ち切られる可能性も考えられます。

請求代行サービスを利用することで、未回収リスクをゼロにすることができます。
請求代行サービスとは、企業の請求管理を代行してもらうサービスのことです。請求書発行や送付などの一部の業務のみを代行する場合もありますが、提供会社によっては売掛金の支払いを100％保証するサービスもあります。このサービスにより未回収リスクをゼロにすることが可能なのです。

ファクタリングサービスとは、イギリス発祥のサービスで、企業の売掛金を買い取るサービスのこと。
企業間の取引は与信取引が基本となるので、ほとんどの取引には売掛金が発生します。これをファクタリングサービス提供している企業に売却することで、手数料を差し引いた分の売掛金がすぐに手に入る、という仕組みになっています。

相殺や代物弁済を行うことで、未回収代金をゼロにするといった方法です。
相殺とは、売掛金と同程度の取引を行い、売掛金と買掛金のプラスマイナスゼロにする方法です。
代物弁済は、売掛金に対して同等かそれ以上の価値を持つモノで弁済する方法です。
この2つの取引はあくまで予備案ですが、未回収代金に対しての対応で利用されることが多い方法です。