売掛債権

売掛債権の回収は代行してくれる?仕組みについて紹介

売掛債権の回収は代行してくれる?仕組みについて紹介

未回収となってしまった売掛債権を確実に回収するためには、サービサーと呼ばれる債権回収会社に委託することをおすすめします。ですが、どのようなサービスであるかについては、あまりよく知られていない部分も多いサービスです。そこで今回は、未回収となった売掛債権の回収を代行してくれるサービサーについて解説いたします。

不良債権の回収代行を行うサービサーとは?

サービサーの仕組み

サービサー(債権回収会社)は、債務者である取引先が請求した支払いを怠っている場合、債権者である企業の代わりに、売掛債権の回収を委託することができる民間企業です。債権回収会社に依頼する場合は、債権の委託と譲渡を選ぶことができます。そのため、依頼主の企業は状況に応じて都合が良い方を選ぶことが可能です。

債権を買い取った場合は、譲渡後にサービサーが取引先へ直接回収行い、依頼企業は取引先へ回収業務を行う必要なく、確実に資金を手にすることができます。債権を委託した場合は、回収後に売上金が手に入る仕組みになっています。

料金について

サービサーに債権回収を依頼する場合は手数料が必要になり、この手数料からサービサーは収益を得ています。その他にも、買い取った債権を回収する際に、実際の金額よりも上乗せした金額を回収して差額を収益としている場合もあります。

サービサー法について

サービサー法とは?

サービサー法は正式には「債権管理回収業に関する特別措置法」という法律で、平成10年に公布、翌年の平成11年に施行されました。この法律により、金融機関などが所有する貸付債権を始めとする特定金銭債権の回収をサービサーが行うことができるようになりました。

サービサーの3要件

サービサーとして認められるためには、

・最低でも5億円の資本金があること

・暴力団などの反社会的勢力との関与がないこと

・常務に従事する取締役の中に1名以上の弁護士が含まれていること

の3つの要件を満たしている必要があります。この3要件により、債権の回収が適切に行われ、暴力団などの反社会的勢力の参入が防がれています。

この要件を満たしていない場合はサービサーと認められません。

特定金銭債権について

特定金銭債権は、先述したサービサー法によって定められている金銭債権です。サービサーが取り扱うことができる債権はこの特定金銭債権の一部に制限されています。

本来サービサー法は速やかに不良債権を処理することを目的としており、その目的から逸脱しないようにするために取り扱いに制限がかけられています。

主なものとして以下のような債権が挙げられます。

 

1. 金融機関等が有する貸付債権

2.リース・クレジット債権

3.資産の流動化に関する金銭債権

4.ファクタリング業者が有する金銭債権

5.法的倒産手続中の者が有する金銭債権

6.保証契約に基づく債権

7.その他政令で定める債権

売掛債権をスムーズに回収するためのポイント

これまで不良債権となった売掛金の回収を専門とするサービサーについてご紹介してきました。

一方で、サービサーを頼ることは最後の手段としたいものです。

最後に、売掛金を自社でスムーズに回収するためのポイントをご紹介します。

請求業務の徹底

売掛債権の回収は、請求書を発行するだけで終わりではありません。

振込の日にちが迫ってきた場合は取引先に確認を行う、振り込みが遅れている場合は状況確認の連絡を入れるなど、実際に売上金が振り込まれるまでは請求業務を徹底する必要があります。

また、請求業務で不手際が生じてしまうと、取引先との信頼関係が崩れてしまい、売上金の回収が難しくなってしまう可能性もありますので、請求業務はしっかりと行いましょう。

与信管理の徹底

与信管理は、どの企業に対しても平等に行わなければなりません。しっかりとした与信調査を行って管理をすることは売掛債権の回収をスムーズに行うことに繋がります。取引を始める前に信用情報を確認し、様々な角度から情報を取得して判断するようにしましょう。

請求代行サービスを利用する

売掛債権の回収をスムーズに行う一つの方法として、請求代行サービスの利用があります。ほとんどが売掛債権の譲渡を伴うサービスのため、早期に売掛金の入金が可能になるほか、貸し倒れのリスクを回避することができ、確実に売上金を確保することができます。

まとめ

売掛債権の回収は委託する方法と譲渡する方法の2つがあるので、自社の都合に合った方を選択して利用しましょう。サービサーを利用することで、安全でスムーズに売掛債権を回収することができるでしょう。サービサーはサービサー法に規定されている要件を満たしているので、安心して利用することができます。

また、売掛債権をスムーズに回収するためには、請求業務や与信管理を徹底して行う必要があります。取引先が複数になるほど管理が煩雑になりやすく、業務の滞りは金融機関や株主からの信頼を落としてしまう結果を導いてしまうかもしれません。

「管理がしっかりしている企業ほど、取引先の経営不振を素早く察知する」とも言われていますので、管理体制の見直しを図るためにも請求代行サービスの利用は有益だと言えるのではないでしょうか。