請求代行
請求書は領収書の代わりに使える?2つの違いをご紹介します
請求書と領収書はどちらも代金の支払いに関する書類のため、似たようなものだと思っていないでしょうか。請求書と領収書は経理上と印紙税法で取り扱いが異なるので注意が必要です。具体的にどのような違いがあるのか、また、請求書は領収書の代わりに使えるのかについてまとめました。
請求書と領収書の違い
一見同じように見えるのが請求書と領収書です。まずは請求書と領収書の具体的な違いについてお伝えします。
支払いを起点に異なっている
請求書と領収書は、どちらも「商品・サービスを提供する側」が発行しますが、「発行する意味やタイミング」が異なります。一般的に請求書は「支払い求める際に発行するもの」で、領収書は「支払ったことを証明するもの」を指します。
つまり、商品やサービスを提供後、相手からお金を受け取るために発行するのが「請求書」で、支払った事実を証明するために発行するのが「領収書」です。
記載内容
請求書と領収書は記載内容も異なります。それぞれの記載内容は以下の通りです。
<請求書>
請求書には以下のような項目が記載されます。
● 請求先の宛名
● 請求書の発行日 ● 商品・サービスの内容や数量 ● 請求金額 ● 代金の振込先 ● 代金の支払期限 ● 請求書作成者の氏名や名称、住所、電話番号 |
<領収書>
一方の領収書には以下のような項目が記載されます。
● 領収書の宛名
● 領収書の発行日 ● 領収金額 ● 代金の内訳 ● 領収書作成者の氏名や名称、住所、電話番号 |
収入印紙による違い
冒頭のとおり、請求書と領収書はどちらも代金の支払いに関する書類ですが、「収入印紙」の有無については異なるので注意が必要です。収入印紙とは、租税や手数料を支払う際に添付する切手に似た証票のことで、基本的に請求書には収入印紙は必要ありません。
しかし、領収書には収入印紙が必要になる場合があります。それは「代金が50,000円以上」の場合です。商品が税抜き50,000円以上の場合、印紙税法によって収入印紙の添付が義務付けられています。
「レシート=領収書」となるのか
よく「支払ったことを証明するものなら、領収書はレシートでも代用できるのか?」という疑問があがります。結論を言うと、現代のレシートであれば十分代用することができます。
領収書は店名や日時、商品やサービスの内訳、金額の4項目を記載することで法的効力を持ちます。昔のレシートは数字だけが羅列されていたため、必ず別に領収書を発行する必要がありました。しかし現代のレシートは4項目が全て満たされているため、法的にも領収書と同じ扱いになるのです。
ただし、税法上は問題ないものの、会社によっては「レシートではなく領収書をもってこい」というルールがある場合も存在します。社内ルールを確認してから、領収書を発行するべきかどうか判断しましょう。
請求書は領収書の代わりに使える?
請求書と領収書は、ともに代金の支払いに関する書類である点においては同様です。ここで「請求書を領収書の代わりに使えるのか?」という疑問が浮かびます。領収書の代わりに請求書が使えるのか、ここで詳しく解説します。
支払方法によっては代わりに使える
結論を先に言うと、「支払い方法によっては代用できる」です。支払い方法といっても、現金やクレジットカード、銀行振込などさまざまな方法があります。
請求書が必要になる場合
請求書が必要になるのは「クレジットカード」もしくは「銀行振込」で支払った場合です。これらは銀行口座やカードの利用明細から過去の支払い履歴を確認できるため、請求書に記載されていた金額を支払ったことを「証明」できるからです。そのため、クレジットカードや銀行振込で代金を支払った場合、請求書は領収書の代わりにできます。
領収書が必要になる場合
一方、領収書が必要になるのは「現金」で支払った場合です。現金での支払いは履歴が残りません。すなわち「支払いの証明」ができないのです。したがって、現金で支払った際は、請求書ではなく「領収書」が必要になります。
もし領収書を出せないと言われたら?
稀に、領収書を発行してほしい旨を伝えても「発行できない」と言われるケースもあります。最後に、領収書の発行義務について解説します。
領収書の発行は義務?
領収書は、「現金」や「銀行振込」で支払った場合、代金を受け取った側に発行義務が生じます。民法486条に「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる」とあり、支払った側が請求した時点で、代金を受け取った側は領収書を発行しなければなりせん。
ただし、発行義務が生まれるのは現金と銀行振込のみです。信用取引である「クレジットカード」の場合は、義務が発生しないので注意しましょう。
ただし再発行は義務ではない
前述のように、領収書には発行義務がありますが、これは「1回目」に限ります。領収書の「再発行」には義務がありません。紛失など支払い側のミスであれば、代金を受け取った側は拒否することができます。再発行を拒否できるのは、二重請求や経費の水増しなど、安易な再発行によるトラブルを防ぐためです。再発行は可能ですが、悪用されてしまうおそれもあることを念頭に置いておきましょう。
まとめ
請求書と領収書はどちらも支払いに関する書類ですが、発行の意味合いが若干異なります。請求書を領収書代わりにすることも可能ですが、支払い方法によって異なるので要注意です。是非本記事の内容を、ご自身の経理業務の参考にしてください。
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